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大阪府議会議員前田 将臣
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キッチンカーの許可は、大阪府内を回るのに最大10枚いりました――「1枚で府内全域」になるまでと、まだ残っていること

キッチンカーが大阪府内のどこでも営業するには、かつては最大で10の自治体の許可が必要でした。2020年に委員会で取り上げてから、許可は1枚で府内全域、2025年6月からは和歌山県域まで広がりました。何が変わり、何がまだ残っているのかを、議会の記録と府の資料で整理します。

どうも、前田将臣です。大阪府議会議員をしています。

今日は、キッチンカーの「許可」の話を書きます。

お祭りやイベント、公園で見かけるキッチンカー。あの車が、大阪府内のどこでも同じ許可で営業できるようになったのは、実はそれほど前のことではありません。2021年までは、府内を広く回ろうとすると、最大で10の自治体それぞれの許可が必要でした。

なぜ今この話を書くのか。僕がこの問題を府議会の委員会で取り上げたのは、2020年12月です。それから約1年後の2022年1月に、許可は「1枚で府内全域」になり、2025年6月からは和歌山県域まで広がりました。府県をまたぐ仕組みの運用が始まって、1年あまりが経ちます。ひと区切りの到達点まで来た今、何が変わり、何がまだ残っているのかを整理しておきたいと考えました。

この記事では、何が不便だったのか、議会で何を求めて府がどう答えたのか、そして今どこまで来ていて、次に何を見ればいいのかを、順にお伝えします。

府内を回るのに、許可が最大10枚いりました

食べものを調理して売るには、食品衛生法にもとづく営業許可がいります。キッチンカーも同じです。

この許可を出すのは保健所です。大阪府内では、府のほかに、自前の保健所をもつ9つの市があります。大阪市、堺市、豊中市、吹田市、高槻市、枚方市、八尾市、寝屋川市、東大阪市です。府と合わせて、許可を出す自治体は10ありました。

2020年12月9日の健康福祉常任委員会で、僕はこの点を質問しました。会議録には、こう残っています。

事業者の利便のため、食品営業の許可を府下で一元的に与える、申請が簡易にできる手続も仕組み化する、既にほかの保健所より食品営業許可を得ている場合、ほかの保健所での申請費用を減額するといった事業者の負担軽減が実現できないかどうか

府の答弁(食の安全推進課長)は、まず今の仕組みの説明でした。政令市・中核市を除く府の担当区域なら、車の保管場所などを管轄する保健所の許可を一つ取れば、その区域の全域で営業できる。一方で、政令市・中核市で営業するには、それぞれの市の許可が必要になる。そのうえで、課題を整理しながら、事業者の負担を軽くできないか府内の政令市・中核市と協議していく、という答弁でした。

たとえば岸和田市は、府の岸和田保健所の担当区域です。岸和田に車を置く事業者は、府の許可が一つあれば府の担当区域は回れます。でも、堺市や大阪市のイベントに出るなら、それぞれの市の許可も別に取る必要がありました。

府内全域を回ろうとすると、許可は最大で10枚。そのたびに申請し、手数料を払い、許可の条件も保健所ごとに確かめる。これが、当時の姿でした。

大阪府内を回るのに必要な営業許可の移り変わりを示した図。2021年12月までは最大10枚で、府の担当区域と、保健所をもつ大阪市・堺市・豊中市・吹田市・高槻市・枚方市・八尾市・寝屋川市・東大阪市の9市それぞれの許可が必要だった。2022年1月からは、10自治体のどれか1つの許可(2021年6月1日以降のもの)で府内全域を営業できる。2025年6月からは、関西広域連合の共通基準の許可1枚で大阪府全域と和歌山県全域を営業できる。2025年5月31日までの許可は変更の届け出などが必要。
図1 府内を回るのに必要な許可の枚数。出典:大阪府「自動車及び露店による食品営業取扱要綱の一部改正案」概要(2021年11月)、大阪府自動車による食品営業取扱要綱(2025年6月1日版)附則、大阪府「自動車による営業の取扱い」(2026年5月27日更新)。2026年10月20日確認。

2021年3月、つくる人から聞いた三つの声を、本会議で伝えました

3か月後の2021年3月8日。本会議の一般質問で、この問題をもう一度取り上げました。

当時はコロナ禍のさなかで、飲食店には営業時間の短縮が要請されていました。議場で僕が話した言葉を、会議録から続けて引きます。

キッチンカーを用いた事業者については、飲食スペースを有さない営業形態であるため、大阪府営業時間短縮協力金を受け取ることができず、より多くの負担を強いられています。

(中略)

キッチンカーは、保健所に行って許可の取得を行わなければなりませんが、他府県や府内の政令市、中核市へ乗り入れを行う場合、自治体ごとの許可が必要なため、事業者の負担となっている現状です。

先日、キッチンカーを実際に製造している事業者の方にお話を伺った際には、営業許可を一つの自治体で取ることによって、他の自治体に相互乗り入れできるようにならないか、営業許可を申請するための費用が高いため、これを見直すことはできないか、また営業許可の条件が各保健所によって様々なため、統一することはできないかといった御意見をいただきました。

このことを踏まえ、規制緩和の実現に向けた大阪府の今後の方向性について所見を伺います。

許可を一つに。費用を見直して。条件をそろえて。

つくる人から届いた声は、この三つでした。どれも、食の安全をゆるめてほしいという話ではありません。同じことを、何度も、場所ごとにやり直さなくて済むようにしてほしい、という話です。

健康医療部長の答弁は、次のような内容でした。

  • 2021年6月に施行される改正食品衛生法にもとづき、府が施設基準を定め、それに沿って府と各保健所設置市が具体的な運用を定めることになっている
  • この法改正の機会をとらえ、保健所設置市と協議し、府内での統一的な運用と事業者の負担軽減に向けた検討を行うことで一致した
  • 自治体間で相互乗り入れができるよう、国に法の規定整備を要望するとともに、食品衛生を担保しつつ、申請手続きの簡素化などについて保健所設置市と協議を進める

「キッチンカーの規制緩和」と聞くと、食の安全のルールをゆるめる話に聞こえるかもしれません。

そうではありませんでした。答弁にもあるとおり、前提は「食品衛生を担保しつつ」です。4日後の3月12日の委員会でも、僕は同じ点を重ねています。

健康医療部として食品衛生を担保しつつ、事業者負担の軽減の実現に向けて取り組んでいただきたく思っております。

安全の水準は下げない。その同じ水準を、府内のどの自治体でも同じように使えるようにする。手続きの重なりを減らす話です。

ただ、この時点では、まだ「検討で一致した」段階です。相互乗り入れが決まったわけではありませんでした。

1枚の許可で府内全域へ。2022年1月に始まりました

そこから先は、府と9つの市の協議として進みました。

まず、許可の条件です。2021年6月の改正食品衛生法の施行を機に、府と9市は、府の要綱と運用指針にもとづいて、キッチンカーの施設基準や取り扱える食品の品目を統一して運用することにしました。

基準がばらばらのまま許可だけを共通にすれば、ある市では通らない車が、別の市の許可で入ってくることになります。だから、まず基準をそろえる。そのうえで、許可を一つにする。実際に進んだのも、この順番でした。

次に、許可を一つにすることです。2021年10月11日の本会議では、同じ会派の議員がこの問題を一般質問で取り上げ、許可の条件が保健所によってばらつくことと、府内を回るには市ごとに許可がいることの二点を挙げました。

健康医療部長は、主な営業所などを管轄する自治体の許可だけで府内の営業ができる「相互乗り入れ」について、今の法律の枠内で、自治体間の協定などにより実施できるかを国に確かめ、差し支えないという回答を得たと答弁しました。3月には「国に法の規定整備を要望」するとしていましたが、法律を変えなくても、協定で進められることが分かったわけです。

翌月、府は要綱の改正案についてパブリックコメントを始めました。2021年11月18日の委員会で、僕はその後のスケジュールを確認しています。

食の安全推進課長の答弁は、意見募集の結果を踏まえて要綱を改正し、関係自治体と協定を結んだうえで、2022年1月から府内の相互乗り入れの開始を目指す、というものでした。対象は、基準をそろえた2021年6月1日以降に取った許可までさかのぼって適用する予定とされました。

府の要綱には、この改正が2022年1月1日から実施されたことが記されています。

府は意見募集の結果の中で、こう説明しています。これまでのように営業する自治体ごとに許可を取らなくても、府内のいずれかの自治体で2021年6月1日以降の許可を一つ取っていれば、大阪府全域で営業できるようになる。営業者の手続きにかかる時間や、手数料の負担が大幅に軽くなる、と。

ここまでの動きは、府と9つの市の協議、国への確認、府の担当部局の作業、そして会派の議員の質問が重なって進んだものです。僕の質問だけで実現したものではありません。

1枚の許可になるまでの年表。2020年12月9日、委員会で前田が許可の一元化・申請の簡素化・費用の負担軽減を質問。2021年3月8日、本会議で前田が事業者から聞いた三つの声を伝え、府は統一的運用と負担軽減の検討で一致と答弁。2021年6月1日、改正食品衛生法の施行で府と9市が許可の基準をそろえる。2021年10月11日、協定による相互乗り入れは今の法律で可能と国から回答があったと府が答弁。2021年11月18日、委員会で前田が開始の時期と10自治体の連携の仕組みを確認。2022年1月1日、1枚の許可で府内全域を営業できるように。2025年6月1日、関西広域連合の共通基準により和歌山県・和歌山市と協定し、大阪府全域と和歌山県全域へ。
図2 「1枚の許可」になるまでの年表。出典:大阪府議会会議録(2020年12月9日、2021年3月8日・10月11日・11月18日)、大阪府自動車による食品営業取扱要綱(2025年6月1日版)附則、大阪府報道発表(2025年5月30日)。2026年10月20日確認。

緩めたあとこそ、10の自治体の連携が問われます

許可が一つで済むようになる。それで終わり、ではありませんでした。

同じ2021年11月18日の委員会で、僕はスケジュールの確認に続けて、こう質問しています。

特に大阪府のように十自治体もあるところでは、自治体間の連携がうまくいかないと、施設基準等の統一的な運用や食中毒発生時の対応が機能しないことによって、制度そのものが立ち行かなくなることが考えられます。

許可を出す自治体と、実際に車が営業する自治体が、別々になる。ある市の許可を取った車が、別の市のイベントで営業し、そこで食中毒が起きたら、誰が調べ、誰が指導するのか。手続きを一つにするほど、その裏側で、自治体どうしがつながっている必要があります。

答弁は、次のような内容でした。

  • 関係自治体の間で協定を結び、互いに連携して食品衛生を確保する
  • 施設基準などの統一的な運用のため、密に連絡を取り合い、情報を共有する仕組みをつくる
  • 食中毒が起きたときに速やかに対応できるよう、検査や調査の主体となる自治体をあらかじめ決めるなどのルールをつくる

僕は、情報を共有する仕組みづくりに迅速に取り組んでほしいと要望しました。

今の府の案内ページにも、この考え方が表れています。営業許可の情報は、営業地を管轄する自治体から照会があれば必要な範囲で提供すること。営業の際は、営業地を管轄する自治体や許可を出した自治体が指導すること。食品衛生法の違反で営業停止などの処分を受けたら、その期間は大阪府全域と和歌山県域で営業できないこと。こうした点が、留意事項として示されています。

和歌山県域まで広がった今も、境目は残っています

その後、仕組みはもう一段広がりました。

関西広域連合では2022年度から、「ビジネスしやすい関西」に向けて、広域での様式や基準の統一に取り組んできました。その一つとして、キッチンカーの許可基準を共通にする指針がまとまり、2025年6月1日から運用が始まりました。

これを受けて、府と9つの市は、和歌山県・和歌山市と協定を結びました。2025年6月1日以降に、この共通の基準で許可を取った(または変更の届け出をした)キッチンカーは、大阪府全域と和歌山県全域で営業できます。府は、府県をまたぐこうした営業許可の取り組みは全国初だと発表しています。

泉州は、和歌山県と接しています。府県の境目を越えて行き来する範囲で、同じ許可が使えるようになったことになります。

ふり返ると、ここには大阪の仕組みの一つの特徴が出ています。府内には、食品の営業許可を出す自治体が10あります。事業者やお客さんが動く範囲は、市の境目で止まりません。それなのに、手続きは境目ごとに分かれていました。その不便を減らした方法は、法律を変えることではなく、自治体どうしが基準をそろえ、協定を結び、情報を共有することでした。

ただ、境目がなくなったわけではありません。正直に書いておきたい、今も残っていることがあります。

まず、関西のほかの府県です。基準は関西広域連合の域内で共通になりましたが(鳥取県は独自の基準)、大阪の許可で営業できるのは大阪府と和歌山県だけです。滋賀県・京都府・兵庫県・奈良県・徳島県・鳥取県で営業するには、その地域の保健所などの許可が今も必要です。奈良県では2026年4月から、県と奈良市の間で許可が一本化されましたが、奈良県の外へは乗り入れできません。

今、大阪の1枚の許可で営業できる範囲を示した図。大阪府か和歌山県で取った2025年6月1日以降の関西広域連合の共通基準の許可1枚で、大阪府全域と和歌山県全域で営業できる(付帯的な魚介類販売を除く)。滋賀県・京都府・兵庫県・奈良県・徳島県・鳥取県では、その地域の許可が別に必要。許可の基準は鳥取県を除く関西広域連合の域内で共通。奈良県は2026年4月から県と奈良市の間で許可を一本化したが、県外へは乗り入れできない。
図3 今、営業できる範囲。出典:大阪府「自動車による営業の取扱い」(2026年5月27日更新)、堺市「【自動車】営業をはじめるとき」(2026年9月1日更新)、奈良市「奈良県と奈良市で自動車飲食店営業許可が一本化されました」。2026年10月20日確認。

次に、許可の切り替えです。2025年5月31日までに取った許可のままでは、和歌山県域では営業できません。変更の届け出や継続の申請が必要です。また、付帯的な魚介類の販売や食肉処理業は、今も大阪府域だけの扱いです。どの許可でどこまで営業できるかの確かめ方は、記事の最後に書いておきます。

そして、費用のことです。2021年3月に伝えた三つの声のうち、「許可を一つで」と「条件の統一」は、形になりました。「申請の費用が高い」という声について、府は許可の枚数が減ることで手数料の負担が大幅に軽くなると説明しています。

ただ、1枚あたりの額が下がったわけではないようです。府の申請の案内では、キッチンカーの飲食店営業の許可の手数料は、今も新規で16,000円、更新で12,800円です(2026年10月20日確認)。2021年10月の本会議で、会派の議員が「一回一万六千円」と示した額と同じです。軽くなったのは、払う回数のほうです。

もう一つ、分からなかったことがあります。この相互乗り入れの許可で営業している車がどれくらいあるのか。食中毒などが起きたとき、自治体どうしの連携が実際にどう働いたのか。そうした運用の実績を示す数字は、今回確認した公開資料では見つけられませんでした。

2021年11月の委員会で、僕は、規制を緩和することで多くの事業者が取り組みやすい環境になり、キッチンカーの活躍の場が一層広がることを期待したいと話しました。同時に、自治体間の連携がうまくいかなければ制度そのものが立ち行かなくなる、とも話しています。

手続きを一つにすることと、裏側の連携を確かめ続けること。この二つは、セットだと考えています。

次に何が分かれば、前進と言えるのか

これからの焦点を、三つに分けて書いておきます。

  1. 関西のほかの府県での営業
    • 今どこまで来ているか:許可の基準は、2025年6月から関西広域連合の域内で共通になりました。同じ許可で営業できるのは、大阪府と和歌山県です。
    • 何が分かれば前進か:ほかの府県とも協定が結ばれ、同じ許可で営業できる範囲が広がることです。
  2. 自治体どうしの連携の実際
    • 今どこまで来ているか:協定、情報共有の仕組み、食中毒のときに主体となる自治体を決めるルールが示されています。運用の実績を示す数字は、今回の確認では見つけられませんでした。
    • 何が分かれば前進か:相互乗り入れでの営業の状況や、連携して対応した実績が、何らかの形で示されることです。
  3. 事業者の手続きと費用
    • 今どこまで来ているか:許可一つで大阪府全域と和歌山県全域を回れるようになりました。2025年5月31日までの許可は、切り替えの手続きが必要です。府の許可の手数料は、1枚あたり新規16,000円です(2021年に議会で示された額と同じ)。
    • 何が分かれば前進か:切り替えがどこまで進んだか、そして事業者の手続きと費用の負担が実際にどう変わったかが分かることです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この続きは、新しい資料や数字がそろったときに、またお伝えします。

2026年10月20日 前田将臣

P.S.

キッチンカーで出店している方、これから始めたい方、地域のお祭りやイベントでキッチンカーを呼ぶ方へ。一つだけ、確かめてみてください。

今の許可で、どこまで営業できるかです。2025年5月31日までに取った許可のままでは、和歌山県域では営業できません。許可を取った時期と、許可証の記載を手元に置いて、大阪府の「自動車による営業の取扱い」のページで営業できる範囲と必要な手続きを見てください。分からないときは、許可を取った保健所に相談できます。

出典・参考(16件)