どうも、前田将臣です。大阪府議会議員をしています。
今日は、大阪に住んでいる人ほど迷いやすい、二つの名前の話を書きます。
「子ども家庭センター」と、「こども家庭センター」。
一字ちがいですが、別の場所です。
なぜ今この話を書くのか。理由は二つあります。11月は児童虐待防止推進月間です。そして大阪府は、市町村のこども家庭センターを「2026年度末までに府内全市町村で」整えることを目指しています。今年度が、その期限の年度です。
困ったときに、どこへ相談すればいいのか。その入口の名前が分かりにくいままでは、迷う人が出ます。
この記事では、二つの窓口の違い、僕が委員会で何を求めてきたか、そして今どこまで来ていて何が残っているかを、順にお伝えします。少し長くなりますが、最後までお付き合いいただけたらうれしいです。
府の「子ども家庭センター」は、児童相談所のことです
まず、府のほうから説明します。
大阪府では、児童相談所を「子ども家庭センター」と呼んでいます。府が設けているのは6か所で、それぞれ担当する市町村が決まっています。大阪市・堺市・豊中市は、それぞれ市の児童相談所が担当です。
岸和田市を含む泉州の12市町を担当しているのは、「大阪府貝塚子ども家庭センター」です。
この名前に、見覚えがない方もいると思います。もともとは岸和田市にあった「岸和田子ども家庭センター」が、2024年2月に貝塚市へ移り、3月から今の名前になりました。
移転が決まっていた2022年3月の委員会で、僕は移転後も岸和田市との連携が保たれるのかを確かめています。府の答弁は、管内の市町との距離は変わるけれども、連携に影響を及ぼすことはないと考えている、というものでした。
児童相談所は、虐待の通告を受けて子どもの安全を確かめたり、必要なときに子どもを一時保護したりする機関です。府の子ども家庭センターが対応した児童虐待の相談は、2022年度で1万6千件を超えていました(府の速報値)。
虐待かもしれないと思ったときの全国共通の番号「189」は、お住まいの地域の児童相談所につながります(一部のIP電話はつながりません)。
市町村の「こども家庭センター」は、毎日の子育ての相談の入口です
もう一つ、ひらがなの「こども家庭センター」は、市町村の窓口です。
2024年4月に施行された改正児童福祉法で、市町村はこども家庭センターの設置に努めることになりました。
それまで市町村には、相談の窓口が二つありました。虐待の予防や子どもの福祉を担う「子ども家庭総合支援拠点」と、妊娠・出産・子育ての健康を支える「子育て世代包括支援センター」です。この二つの役割を一つにまとめ、すべての妊産婦、子育て世帯、子どもへの相談支援を一体で行うのが、こども家庭センターです。
岸和田市の場合、保健センターの中にある「こども家庭すこやかセンター」が、妊娠期から子育て期までの総合相談窓口になっています。妊娠の届け出や母子健康手帳の交付、乳幼児健診や発達の相談、0歳から18歳未満の子どもや家庭の悩み、虐待やヤングケアラーの相談まで、ここで受けています。必要な家庭には、子育てを支える「サポートプラン」も渡しています。
府の資料では、岸和田市はこども家庭センターを設置済みのまちに入っています。市の計画では、二つの機能をまとめて2024年度に設けたのが、この「こども家庭すこやかセンター」だと説明されています。岸和田市のように、まちによって窓口の呼び名が違うこともあります。
整理すると、こうなります。
- 府の「子ども家庭センター」:児童相談所。府内6か所。虐待の通告への対応や一時保護など、専門的な対応を担う。
- 市町村の「こども家庭センター」:まちの中の窓口。妊娠・出産から子育て、子どもの悩みまで、身近な相談を一体で受ける。

委員会で、僕は「大変ややこしい」と言いました
この二つの名前を、僕が議会で取り上げたのは2022年10月14日、健康福祉常任委員会でのことです。
その年の6月に改正児童福祉法が成立し、市町村のこども家庭センターが法律に書き込まれました。委員会では、パネルを使ってその仕組みを説明しました。
そのとき、僕はこう話しています。
大阪府では、既に児童相談所の名称を子ども家庭センターとしているため、大変ややこしい表現でありますけれども
会議録に残っている、僕自身の言葉です。
ただ、この日に求めたのは、名前の整理ではありませんでした。
設置することだけが目的とならないようにだけ、どうか注意いただきたいと思っています。
センターを置けば、虐待への対応や子育て支援が一気に充実するわけではない。その機能が十分に発揮されるよう、府として市町村を支えてほしい。そう要望しました。
窓口ができれば安心、とは限りません
新しい窓口ができた、というニュースは、それだけで前に進んだように見えます。
でも、窓口の数と、困っている家庭に支援が届くことは、同じではありません。
この点は、こども家庭センターの話が出る前から気にしていました。
2021年11月の委員会で、僕は市町村の「子ども家庭総合支援拠点」を一日も早く全市町村に設置するよう求めました。府は、早急に全ての市町村が設置できるよう取り組むと答弁しています。
翌2022年3月には、府内43市町村のうち31市町村で設置済み、4月開設予定を含めると36市町村になる見込みだと確認しました。
同じ日、僕は国の専門委員会の報告書に触れて、拠点が別の機関へ移り変わっていくことも予想される、と指摘しています。全市町村に設置したのに、また次の機関の整備に向けて努力する形になれば、課題の解決に力を注げているのか疑問になりかねない。だから、市町村に住む家庭や子どもの課題を、より早く解消できる支援の形を軸に取り組んでほしい、と求めました。
その後、拠点は府内43市町村のうち39市町村まで設置が進みました。そして2024年4月、拠点はこども家庭センターへまとめられることになりました。
制度は、より良い形を目指して変わります。それ自体は必要なことです。
ただ、変わるたびに「いくつ設置されたか」から数え直していると、肝心の「相談した家庭に何が届いたか」が見えにくくなる。僕が委員会で繰り返し求めてきたのは、その部分です。

今の到達点は、43のうち39。残りは4つです
では、今どこまで来ているのか。
府が2025年11月の大阪児童虐待防止推進会議に出した資料では、2025年5月時点で、府内43市町村のうち35市町村がこども家庭センターを設置済みでした。設置率は81.4%。同じ時点の全国の設置率は71.2%でした。
その後、こども家庭庁が2026年6月に公表した調査では、2026年4月1日時点で、府内43市町村のうち39市町村が設置済みです。設置率は90.7%、未設置は4市町村。同じ時点の全国の設置率は85.9%です。
府は、2026年度末までに府内全市町村での整備を目指して支援を進める、としています。

正直に書いておきます。
設置の数は、こうして国や府の資料で追えます。一方で、設置されたまちで、相談や支援がどう変わったのかを示す数字は、見つけられていません。
そして、ここまでの設置は、それぞれの市町村が進めてきたものです。府や国の制度、現場の職員の方々の取組が重なって進んできたもので、僕の質問だけで進んだものではありません。
府のセンターが重い事案に向き合うためにも、まちの窓口が要ります
なぜ、市町村の窓口がそれほど大事なのか。
2022年11月の委員会で、僕は、府の子ども家庭センターがこの数年、年に1万件を超える相談に対応し、その中身も年々複雑になっていると触れたうえで、府の職員がより複雑で困難な事案に集中して対応できる状況をつくる必要がある、と話しました。
さらに2025年6月からは、親などの同意がある場合などを除いて、一時保護を始めるときに裁判官の審査を受ける仕組みが始まりました。2024年10月の委員会で確認したところ、国の試行に協力した府の子ども家庭センターでは、請求が必要な事案1件あたり、面談から書類の作成、裁判所への提出までに、およそ13時間かかったとのことでした。
府の子ども家庭センターの負担は、軽くなる方向にはありません。
だからこそ、毎日の子育ての困りごとを、早い段階でまちの窓口が受け止められるかどうかが大事になります。困りごとが重くなる前に、身近なところで相談できる。そういう入口が機能していれば、府の子ども家庭センターは、本当に専門的な対応が必要な事案に力を注げます。
同じ2024年10月の委員会で、僕は、市町村のこども家庭センターが機能するよう府がどう支えるのかを質問しました。
府の答弁は、次のような内容でした。
- 設置済みの市町村を訪ねて、うまくいっている運用や連携の例を聞き取り、説明会で共有する
- 児童福祉と母子保健の両方をまとめる「統括支援員」に向けた実務研修を開く
- 常勤職員やスーパーバイザーなど専門職の配置について、国に要望する
府の資料によると、統括支援員の実務研修は2024年度に59名が受講しています。一方で、一つの市町村だけで統括支援員を育てるには限界があること、ほかの自治体と情報を交換する機会が足りないことも、課題として挙げられています。
僕の考え:置くことより、回ることを見たい
2019年、府議会での初めての一般質問の冒頭で、僕は自分が「児童養護施設という場で生きてきた当事者」であることを話しました。「社会のセーフティーネットとなる社会的養護のあり方を考え、そこで今も生活している子どもたちの代弁者としての責務を果たすべく」府政に思いを訴えていく、とも述べています。
子どもを守る仕組みは、府議会に入ったときからのテーマです。
その中で、僕が委員会で繰り返してきたことは一つです。
拠点やセンターを置くことが、答えそのものではない。その機能が、相談した家庭に届くかどうかが大事だということです。
市町村の担う役割は、これからも広がっていきます。支援のボリュームが大きくなるほど、一つのまちだけで人を育て、仕組みを回し続けるのは簡単ではありません。まちとまちをつなぎ、人を育てるところで、府が果たす役割は大きいと考えています。
次に何が分かれば、前進と言えるのか
これからの焦点を、三つに分けて書いておきます。
- 残る4市町村での設置
- 今どこまで来ているか:2026年4月1日時点で、43市町村のうち39市町村が設置済みです(こども家庭庁の調査)。
- 何が決まれば前進か:府の目標である2026年度末までに、すべての市町村で設置されることです。
- 中心になる職員の育成
- 今どこまで来ているか:統括支援員の実務研修は、2024年度に59名が受講しました。府は、政令市を含む府内すべての統括支援員が受講できるよう研修の体制を充実させる案を、2025年11月の会議で示しています。
- 何が決まれば前進か:この案が実際に行われ、どのまちの統括支援員も研修や情報交換の場を使えるようになることです。
- 相談した家庭に、支援が届いているか
- 今どこまで来ているか:設置の数は公表されていますが、設置後に相談や支援がどう変わったかを示す数字は、今回確認した公開資料では見当たりませんでした。
- 何が決まれば前進か:「機能している」を何で確かめるのかが示されることです。
二つの名前は、これからも並んで使われます。だからこそ、名前より先に、その中身が回っているかを見ていきたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
この続きは、新しい数字や資料がそろったときに、またお伝えします。
2026年10月20日 前田将臣
P.S.
読み終えたら、一つだけ試してみてください。
お住まいの市町村の「こども家庭センター」の名前と電話番号を、一度だけ調べて、スマートフォンに登録しておくことです。困ったときに、窓口の名前を探すところから始めなくて済みます。
岸和田市にお住まいの方は、こども家庭すこやかセンター(岸和田市公式サイト)が窓口です。ほかのまちの方は、「市町村名 こども家庭センター」で、お住まいの市町村の公式サイトを探してみてください。まだセンターがないまちや、別の呼び名のまちもあります。見つからないときは「市町村名 子育て相談」で探すか、市役所・町村役場の代表番号に電話して、子育ての相談窓口を尋ねてみてください。
出典・参考(18件)
- 大阪府議会会議録・2019年10月4日 本会議(一般質問)
- 大阪府議会会議録・2021年11月18日 健康福祉常任委員会
- 大阪府議会会議録・2022年3月11日 健康福祉常任委員会
- 大阪府議会会議録・2022年10月14日 健康福祉常任委員会
- 大阪府議会会議録・2022年11月11日 健康福祉常任委員会
- 大阪府議会会議録・2024年9月25日 本会議(福祉部長答弁)
- 大阪府議会会議録・2024年10月10日 健康福祉常任委員会
- 大阪府・第4回大阪児童虐待防止推進会議(2025年11月21日)
- 大阪府・同会議 資料5「市町村こども家庭センターの設置促進について」
- 大阪府・各子ども家庭センターの所在地と電話番号
- 大阪府・岸和田子ども家庭センターの移転及び名称変更のご案内
- 岸和田市・こども家庭すこやかセンター
- 岸和田市・こども家庭相談
- 岸和田市・第3期岸和田市子ども・子育て支援事業計画(2025年3月)
- 大阪府・知事コラム(2023年11月10日、府子ども家庭センターの児童虐待相談対応件数)
- 厚生労働省・児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)の概要
- こども家庭庁・こども家庭センターの設置状況(令和8年4月1日時点の調査、2026年6月18日掲載資料更新)
- こども家庭庁・こども家庭センターの設置状況について(令和8年4月1日時点)PDF