
いま、つらい気持ちを抱えている方へ。この記事より先に、相談先を置きます。 24時間・365日つながる電話があります。よりそいホットライン 0120-279-338(無料)、関西いのちの電話 06-6772-1121。 こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 は、月曜から金曜の日中に受け付けています。夜の18時30分から22時30分(受付は22時まで)は、民間団体が受けています。祝日と年末年始は休みです。 文字で話したい方は「大阪こころナビ」へ。365日24時間受け付けている民間団体のチャットも載っています。
どうも、前田将臣です。大阪府議会議員をしています。
僕が所属する会派、大阪維新の会大阪府議会議員団は、2023年にマニフェストを出しています。49の項目があり、その中に、こう書かれた一行があります。
府民の10歳代から30歳代の死因1位が、自殺であることを重く受け、孤立・孤独に対するアプローチやサポート、SNSも活用した相談体制を充実させます。
今年4月、府は2025年の自殺の状況を公表しました。府全体の自殺死亡率は、人口10万人あたり13.5。府の計画が目標にしている「2027年に13.0以下」に、かなり近づいています。
ただ、同じ資料をよく読むと、20歳未満の数は下がっていません。
全体の数字が良くなってきたときは、下がっていないところが見えにくくなります。だからこの記事では、マニフェストの一行がどこまで来たのかを、府の公開資料で確かめます。
今日は、一行を三つに分けて、それぞれの現在地を見ていきます。委員会で何を聞いてきたのか、何が進み、何がまだなのか。そして、次に何が分かれば前に進んだと言えるのかまで、お話しします。重い題材ですが、最後までお付き合いいただけたらうれしいです。
これは会派の政策で、事業を動かしているのは府です
最初に、この記事の前提をはっきりさせておきます。
このマニフェストは、会派として掲げた政策です。僕一人の約束ではありません。そして、実際に相談窓口を開き、計画を作り、事業を動かしているのは大阪府です。議員ができるのは、議会で取組を確かめ、足りないところを指摘し、求めることです。
なので、この記事は「達成しました」という報告ではありません。会派が掲げた一行に対して、府の取組が今どこにあるのかを、公開されている資料で確かめる記事です。
一行を分けると、次の三つになります。
- 10代から30代の死因の1位が自殺であることを、重く受け止める
- 孤立・孤独に対するアプローチやサポートをする
- SNSも活用した相談体制を充実させる
一つ目の前提は、今も変わっていません。府の「こころのほっとライン」のページには、40歳未満の死因の1位が自殺であることが、事業を行う理由として書かれています。
二つ目と三つ目が、今日の本題です。

図3 会派マニフェスト(2023年)の一行と、府の取組の現在地。マニフェストは会派の政策で、事業を行うのは大阪府。下の欄は、前田が健康福祉常任委員会で府に確かめてきたこと。数字はそれぞれ別の指標・年度。出典:維新府議団マニフェスト2023、大阪府・大阪府教育センターの公表資料、大阪府議会会議録。2026年10月22日確認。
「相談できる場所を知っているか」を、委員会で繰り返し聞いてきました
2021年11月18日。健康福祉常任委員会で、僕はコロナ禍の自殺対策を取り上げました。
府の担当課長の答弁は、こうでした。2020年の府内の自殺者は1,409人で、前の年より178人増えた。特に20歳未満の女性は69.2%増えて22人、20歳代の女性は62.2%増えて60人だった。
府は2020年5月に、大学生などと妊産婦を対象にしたSNS相談「大阪府こころのほっとライン」を始めていました。2020年度の相談は485件。府内の大学など42校の協力を得て、学生に直接チラシを配っている、という答弁もありました。
僕はそのとき、こう述べています。
自殺率が増加している傾向にある中で、こういった相談窓口を知っているかどうかで大きく状況は異なると考えています。
窓口があることと、困っている人がその窓口を知っていることは、別のことです。
翌2022年10月の委員会では、孤独・孤立の対策を聞く中で、窓口があること、そして支援につながることの大切さを述べました(このときの発言は、あとの見出しで紹介します)。
2023年3月の委員会では、知っているかどうかという点を、もう一度取り上げました。「自殺を考えたときに相談できる機関を知っているかどうか、これが非常に重要」と述べ、府の担当課からも、相談窓口につながることで自殺のリスクは極めて低下すると聞いている、と話しています。
2024年11月の委員会では、ほっとラインの相談実績と、窓口を知ってもらうための取組を聞きました。2021年から2025年まで、形を変えながらこの点を取り上げてきたことが、会議録に残っています。
相談の件数が増えたことを、どう読むか
では、SNS相談はどう変わったのか。
ほっとラインの相談件数は、2022年度が819件、2023年度が1,276件、2024年度は1,374件でした。府の答弁(2022年度は前の年度より255件増)から逆算すると、2021年度は564件です。2025年度は9月末の時点で1,191件と、前の年度の1年分に近づいています。府の計画では「毎年度750件以上」を目安にしていて、それを大きく上回っています。

図1 大阪府こころのほっとライン(LINE相談。対象は府内の学生と妊産婦)の相談件数。2020年度は5月開設。2021年度は府答弁の前年差から計算。2025年度は9月末までの半年分。出典:大阪府議会 健康福祉常任委員会の答弁(2021年11月18日・2024年11月28日)、大阪府自殺対策計画進捗管理表(第16回大阪府自殺対策審議会 資料2-2、2025年12月)。2026年10月22日確認。
相談件数というと、少ないほうがいい、と思われがちです。悩んでいる人が少ないほうがいいのは、その通りです。
でも、窓口がまだ知られていない段階では、少し違う見方もできます。2024年11月の委員会で、府は、2022年度に作った若い世代向けの啓発動画や、相談窓口をまとめたサイト「大阪こころナビ」で知らせたことで、件数が増えたと答弁しています。悩みを抱える若者の相談の受け皿になった、という評価です。
件数が増えたことは、窓口が届き始めたしるしでもある。そう読むことができます。
ただし、件数だけでは分からないこともあります。相談した人が、その後どうなったのか。必要な支援につながったのか。そこは件数からは見えません。2024年11月の委員会で、僕が「相談内容から見える実態や課題を抽出し、今後の取組に反映する」ことを求めたのは、そのためです。

SNSの相談は、世代ごとに窓口が分かれています
もう一つ、確かめておくことがあります。マニフェストの「SNSも活用した相談体制」が、どの世代まで届いているかです。
ほっとラインの対象は、府内の大学・短大・専修学校の学生と、府内に住む学生、そして府内に住む妊産婦です。受付は週3日、水・土・日の17時30分から22時30分(新しい相談の受付は22時まで)です。
小学生から高校生には、別の窓口があります。府教育センターのLINE相談「すこやか相談@大阪府」です。対象は府内の公立・私立の小・中・高校と支援学校の児童生徒(政令市を除く)で、2025年度は約62.4万人。日曜日から木曜日の19時から22時(受付は21時30分まで)に受け付けています。2025年度は4月11日から3月18日まで開かれ、お盆と年末年始は休みでした。2025年度の実施報告では、受け付けた件数が5,001件、相談員が対応できた件数が4,548件でした。学校で配られるカードやポスターから登録する仕組みです。
府には、ほかにも分野を決めたSNS相談があります。依存症の相談(大阪依存症ほっとライン)や、子育ての悩みの相談(親子のための相談LINE)などです。
ただ、こころの悩み全般を受ける府のSNS相談のうち、学生でも妊産婦でもない20代・30代が使えるものは、確認できませんでした。大阪こころナビには、誰でも使える民間団体のチャットやLINE相談と、府・市の電話相談が並んでいます。こころの悩みを文字で相談したい働く世代は、民間のチャットか、府・市の電話につながる形になっています。
マニフェストが「重く受け」と書いたのは、10代から30代です。その中で、こころの悩み全般を受ける府のSNS相談の対象は、学校に通う子どもと学生、妊産婦。窓口ごとに件数は伸びていても、世代全体で見たときにどこが手薄なのかは、件数を並べるだけでは分かりません。
府全体の数字は下がってきました。若い世代は、まだです
府全体の数字を見ます。
府内の自殺者数は、2020年が1,409人でした。2021年はいったん1,376人に減り、2022年に1,488人まで増えました。そこから2023年は1,383人、2024年は1,279人、2025年は1,185人と、3年続けて減っています。
人口10万人あたりの自殺死亡率は、2022年の16.9から、2025年は13.5へ。府の自殺対策計画(2023年度から2028年度)は、「2027年の自殺死亡率を13.0以下にする」ことを全体の目標にしています。あと0.5です。

図2 大阪府内の自殺者数と自殺死亡率(人口10万人あたり)。暦年、警察庁の自殺統計(発見日・発見地)にもとづく値。2020年の率は資料によって人口の取り方が異なる(府の資料16.0、厚生労働省の表15.9)ため載せていない。目標は大阪府自殺対策計画(2023〜2028年度)の全体目標。出典:大阪府「大阪府の自殺の概要<令和7年>」(2026年4月21日更新。厚生労働省「地域における自殺の基礎資料」による)、第16回大阪府自殺対策審議会 資料1-1・2-1(2025年12月)。2026年10月22日確認。
ここまでの流れは、府の取組、市町村や民間団体の取組、そして社会全体の状況が重なった結果です。マニフェストを掲げたことや、僕の質問だけで実現したものではありません。
そして、目標に近づいたからといって、終わった話でもありません。
20歳未満の自殺者は、2023年が38人、2024年が53人、2025年が57人でした。全体が減っている中で、ここは増えています。39歳以下で見ると、2025年は333人で、全体の28.1%にあたります。
2023年3月の委員会で、僕は「特に二十歳未満の自殺の増加については、何としても食い止めなければならない大きな課題」と述べました。府は同じ月に策定した計画で、「子ども・若者の自殺対策を推進する」を、新しく重点施策に加えています。
それから2年たった2025年も、20歳未満の数は増えています。マニフェストの一行が重く受けると書いた世代のうち、いちばん若いところで、数字はまだ下がっていません。
孤独・孤立の対策は、「見つけること」が出発点です
一行の二つ目、孤立・孤独へのアプローチです。
2022年10月の委員会で、府の孤独・孤立対策がどこまで検討されているかを聞きました。府は、2022年8月に部局をまたいだ課長会議を立ち上げたこと、12月にフォーラムを開くこと、市町村の支援の実態を調べていることを答弁しました。
僕はそこで、表に出てこない人を見つけることを求めました。「潜在的な層の発見に向けてより注力いただきたい」という要望です。
続けて、孤独や孤立の中にいる人が陥っている可能性のある、依存症と自殺の対策の現状を聞きました。自殺対策の質問の中で、僕はこう述べています。
支援の窓口が存在していることや、支援の内容につながるということは、その人の命がつながることと等しいと考えております。
府の答弁では、2021年度の電話やSNSなどでの相談は、延べ2万3,415件でした。質問の最後には、施設を出た人のように、身近に頼れる大人がいない人が孤立しやすいことにも触れ、孤独・孤立対策で実態をつかむよう求めました。
その後、府は2023年3月に「大阪府孤独・孤立対策推進指針」を作りました。行政と民間の団体がつながるための「孤独・孤立対策公民連携プラットフォーム」には、2026年8月末の時点で169団体が参加しています。内訳は、民間の企業やNPOなどの団体が97、市町村と社会福祉協議会が72です。フォーラムは、2025年12月にも開かれました。
つながる仕組みは、形になってきています。
一方で、この仕組みを通じて、それまで支援に届いていなかった人が何人見つかり、支援につながったのか。その数字は、府の公開資料(孤独・孤立対策のページ、自殺対策審議会の資料)では見当たりません。「見つける」ことが出発点だとすれば、それが実際にできているかを示す数字は、まだありません。
計画は、市町村の窓口で動いて初めて意味を持ちます
悩んでいる人がまず向き合うのは、住んでいるまちの窓口や保健所、学校です。府内の43市町村は、すべて自分たちの自殺対策計画を持っています。
2025年3月の委員会で、僕は「計画を立てて終わりではなく、実効性のある施策にしていかなければならない」と述べ、市町村の取組と府の支援を聞きました。府は、保健所などの職員が市町村の会議に出て一緒に検討していること、効果のあった取組を市町村の間で共有していること、地域で気づいて声をかける人(ゲートキーパー)を育てる研修の講師を養成していることを答弁しました。
自分のまちの相談窓口と計画は、府の「わたしのまちの自殺対策ホームページ一覧」から探せます。府全体の数字が下がっても、まちごとに事情は違います。泉州のまちごとの窓口と計画も、この一覧から確かめられます。
次に何が分かれば、前進したと言えるのか
会派のマニフェストに書いた一行は、府の取組としては、形になってきました。SNS相談は伸び、相談先をまとめたサイトができ、孤独・孤立の対策にも仕組みができています。
ただ、数字の目標と若い世代の二点で、まだ途中です。次の四つが、これからの確認点です。
- 府全体の目標に届くか。 計画の目標は、2027年の自殺死亡率13.0以下。現在地は、2025年の13.5です。府が毎年公表する数字で、減る流れが続くかどうかが一つ目の確認点です。
- 20歳未満の数が下がり始めるか。 現在地は、2023年38人、2024年53人、2025年57人と増えています。府の自殺対策審議会で、若い世代の状況の分析と、それを受けた対策の見直しが示されるかどうかが確認点です。
- SNS相談の手薄な世代が、どこか示されるか。 現在地は、学生と妊産婦向けのほっとラインと、小中高生など向けのすこやか相談(府教育センター)が、それぞれ件数を出している段階です。こころの悩み全般を受ける府のSNS相談で、学生でも妊産婦でもない20〜30代が使えるものは確認できませんでした。府の窓口と民間の窓口を合わせて、10代から30代のどこに相談が届き、どこに届いていないのかが一つの形で示されることが、前進の目安になります。
- 孤独・孤立の中にいる人を「見つけられた」か。 現在地は、169団体(民間の団体97、市町村・社会福祉協議会72。2026年8月末時点)が参加する仕組みができた段階です。この仕組みを通じて新たに支援につながった人が、どれくらいいるのか。それが示されて初めて、出発点を越えたと言えます。
数字が良くなってきたときほど、下がっていないところは見えにくくなります。そして、相談できる場所を知っているかどうかで状況が変わるなら、その場所を知らせることは、議会の外でもできることです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。府が新しい数字を出せば、この一行の現在地はまた変わります。その続きも、見ていただけたらうれしいです。
2026年10月22日 前田将臣
P.S.
この記事を読んでくださったあなたに、一つだけお願いがあります。
府の相談窓口をまとめたサイト「大阪こころナビ」を、一度開いて、スマートフォンに保存しておいてください。
今のあなたに必要がなくても構いません。いつか、あなた自身や、家族や友だちが話を聞いてほしいと思ったときに、どこに連絡すればいいかがすぐに分かります。名前を言わずに使えるチャットや電話の窓口が、受け付ける時間と一緒に並んでいます。
電話なら、24時間・365日つながる、よりそいホットライン 0120-279-338(無料)と、関西いのちの電話 06-6772-1121 があります。こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 は、月曜から金曜の日中と、夜の18時30分から22時30分(受付は22時まで、民間団体が担当)です。祝日と年末年始は休みです。
相談できる場所を知っている人が、一人でも増えること。それが、この記事でいちばん伝えたかったことです。
(出典・参考は、このあとの一覧にまとめています)
出典・参考(20件)
- 大阪維新の会大阪府議会議員団・維新府議団マニフェスト2023(PDF)
- 大阪府議会会議録・2021年11月18日 健康福祉常任委員会
- 大阪府議会会議録・2022年10月14日 健康福祉常任委員会
- 大阪府議会会議録・2023年3月8日 健康福祉常任委員会
- 大阪府議会会議録・2024年11月28日 健康福祉常任委員会
- 大阪府議会会議録・2025年3月14日 健康福祉常任委員会
- 大阪府・大阪府の自殺の概要<令和7年>(PDF)
- 厚生労働省・地域における自殺の基礎資料
- 大阪府・同審議会 資料1-1「大阪府の自殺の状況」
- 大阪府・同審議会 資料2-1「大阪府自殺対策計画の概要」
- 大阪府・同審議会 資料2-2「大阪府自殺対策計画進捗管理表」
- 大阪府・大阪府こころのほっとライン
- 大阪府教育センター・LINE相談「すこやか相談@大阪府」
- 大阪府教育センター・令和7年度 LINE相談「すこやか相談@大阪府」実施報告(PDF)
- 大阪府・困ったときは・・・相談しよう!(子ども向け相談先一覧)
- 大阪府・悩みの相談窓口一覧
- 大阪府・わたしのまちの自殺対策ホームページ一覧
- 大阪府・孤独・孤立対策について
- 大阪府・孤独・孤立対策公民連携プラットフォーム
- 大阪府・大阪こころナビ(相談窓口案内サイト)