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大阪府議会議員前田 将臣
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副首都法が、10月30日に施行されました――何が始まり、何がまだ決まっていないのか

副首都をつくるための法律が10月30日に施行されました。ただ、この日に大阪が副首都になったわけではありません。施行で始まったこと、まだ決まっていないこと、次にどこを見れば前進と言えるのかを分けて整理します。

どうも、前田将臣です。大阪府議会議員をしています。

4コマ漫画。壁のカレンダーの丸印を指さす府議の役が「十月三十日 副首都法が施行されました」。日本地図の東京と大阪が線で結ばれたコマに「非常時は首都機能の代わり ふだんは経済の柱」。住宅街で買い物袋を下げた女性が首をかしげ「じゃあ、大阪はもう副首都なの?」。府議の役が手のひらを見せて「まだです。法律が動き出したところです」「指定も中身もまだ決まっていません」。
イラストはAI生成のイメージです。登場人物は架空で、実際の出来事ではありません。

10月30日、副首都をつくるための法律が施行されました。正式な名前は「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律」。とても長いので、この記事では「副首都法」と呼びます。

ただ、最初にはっきり書いておきます。

10月30日に、大阪が副首都になったわけではありません。

僕は10月1日の一般質問と10月9日の委員会で、府と大阪市が描いている副首都の中身について質問してきました。その中で感じているのは、「法律ができた」というニュースと、「大阪で何が決まったのか」が、混ざって伝わりやすいということです。

今日は、施行で始まったこと、まだ何も決まっていないこと、そして次にどこを見れば「前に進んだ」と言えるのかを、順にお伝えします。

10月30日に始まったのは、「手続きに入れるようになった」ということです

副首都法は、国会で成立し、7月31日に公布されました。

法律には「公布から3か月以内に、政令で決める日から施行する」と書かれていました。その日を10月30日とする政令が、10月23日に閣議決定されています。続く10月27日には、副首都に指定するための要件などを定めた施行令も閣議決定されました。

施行で動き出すことは、大きく三つです。

  • 国に「国家社会機能継続性確保施策・副首都整備推進本部」が置かれます。本部長は首相で、全ての国務大臣が加わります。
  • 道府県が、副首都の指定を国に申し出られるようになります。
  • 国は、施行から1年以内に、副首都の整備などについての「基本方針」を定めることになります。2031年3月31日までは、国が施策を集中的に進める期間とされています。
副首都法の年表。2026年7月31日に法律が公布。9月17日に府と大阪市が「大阪がめざす副首都像(検討状況)」を公表。9月25日に府議会で会派の代表質問。10月3日から16日まで国が政令の案に意見を募集。10月23日に施行日を10月30日とする政令を閣議決定。10月27日に指定の要件などを定める政令を閣議決定。10月30日に法律が施行され、国に推進本部(本部長は首相)が置かれ、道府県が指定を申し出られるようになる。これからの見込みとして、11月中に国が政令の基本的な考え方などを公表(府の資料での想定)。時期未定のこととして、指定は府議会の議決、府の申し出、首相の指定と官報での告示の順。別に、府が「めざす副首都像」を取りまとめる(国への意見の土台)。2027年10月までに国が基本方針を定め、その後に副首都ごとの整備方針。2031年3月31日までが集中推進期間。
図1 副首都法の決まった日付と、まだ決まっていないこと。出典:e-Gov法令検索(令和8年法律第78号)、首相官邸 閣議案件(2026年10月23日・27日)、内閣官房 報道発表(2026年10月3日・27日)、第26回副首都推進本部(大阪府市)会議 資料2 3・53ページ(2026年9月17日)。白抜きの印は予定・見込みで、変わることがあります。2026年10月28日確認。

つまり、10月30日は「ゴール」ではなく、「スタートラインに立てるようになった日」です。

「法律ができたら、大阪は副首都」ではありません

ここが、いちばん誤解されやすいところだと思います。

副首都は、法律が施行されたら自動的に決まるものではありません。法律では、首相が道府県を副首都として「指定」します。その指定は、道府県からの申し出にもとづいて行われます。そして、申し出をする前に、その道府県の議会の議決が必要です。

指定には要件があります。10月27日に閣議決定された施行令では、次のように定められています。

  • 東京圏と同時に被災しにくいこと
  • 国の地方支分部局(国の出先機関)が14以上置かれている市町村があること
  • その市町村の人口が全国の1.2%以上(特別区がある区域は一つの市とみなす)で、道府県内総生産(過去3年度の平均)が全国の2.1%以上の道府県にあること
  • 副首都の役割を果たせる地方の行政体制があること。特別区が設けられているか(設置の告示がされている場合を含む)、道府県と指定都市が連携協約を結び、推進のための内部組織を共同で置いていることなど

報道によると、人口と経済の要件に当たるのは、北海道・愛知県・大阪府・福岡県の4つです。

副首都に指定されるまでの要件と手順の図。要件は4つ。1、東京圏と同時に被災しにくい(首都直下地震の緊急対策区域にも、富士山などの火山災害警戒地域にも当たらない)。2、国の行政機関が集まっている(国の地方支分部局が14以上置かれている市町村)。3、人口と経済が集まっている(その市町村の人口が全国の1.2%以上で、特別区の区域は一つの市とみなす。道府県内総生産の過去3年度の平均が全国の2.1%以上の道府県にあること)。4、役割を果たせる地方の行政体制(特別区が設けられている、または設置の告示がされている場合を含む。あるいは道府県と指定都市が連携協約を結び、推進のための内部組織を共同で置いているなど)。報道によると、人口と経済の要件に当たるのは北海道・愛知県・大阪府・福岡県。手順は、府議会で議決、府が国に申し出、首相が指定し官報で告示の3段。手順とは別に、府の「大阪がめざす副首都像」は、国がつくる副首都ごとの整備方針に知事が意見を述べるための土台(法第20条第3項)。2026年10月28日時点の大阪は、3つの段階のどれもまだ済んでおらず、申し出の時期は未定。
図2 副首都に指定されるまでの要件と手順。出典:e-Gov法令検索(令和8年法律第78号 第18条・第20条)、内閣官房「施行令」等の閣議決定について(2026年10月27日、施行令の本文)、共同通信(2026年10月27日)、第26回副首都推進本部(大阪府市)会議 資料2 3・53ページ。2026年10月28日確認。

では、大阪は今どこにいるのか。

府と大阪市の資料では、府議会の議決を経て府が申請する時期は「時期未定」です。行政体制の要件をどの形で満たすのかも含めて、「副首都の整備に向けた行政体制(国、大阪府、大阪市)の構築」は、府の資料の中で今後の課題として挙げられています。

10月30日の時点で、大阪は副首都ではありません。府議会が申し出を議決したわけでもありません。

副首都には、二つの役割が求められています

では、副首都に指定されたら、何を担うのか。

法律は、副首都を「二つの役割を担う道府県」と定めています。一つは、東京圏で大きな災害が起き、首都の中枢の機能を保てなくなったとき、一定期間、その全部か大部分を代わること。もう一つは、東京に集中しすぎない「多極分散型経済圏」の中核を担うことです。

非常時のバックアップと、ふだんの経済の柱。この二つです。

9月25日の府議会の本会議では、僕が所属する大阪維新の会大阪府議会議員団が代表質問で、この二つを大阪としてどう検討していくのかを府に聞きました。登壇したのは和田賢治議員です。会派として府に聞いたことで、僕自身の質問ではありません。

4コマ漫画。各コマに役名(会派の議員、副首都推進局長、知事)。2026年9月25日、府議会の代表質問。演壇の議員が「首都機能のバックアップを大阪としてどう検討しますか」。府の局長が「政治・行政・司法のバックアップ体制を検討します」「国と地方の機関をまとめる合同庁舎も検討を深めます」。議員が「副首都での市町村のあり方は府としてどう考えていますか」。知事が「ミニ東京ではなく個性のある都市として」「市町村とも一体となって進めます」。下に「どれも、これから検討を深める段階」。
2026年9月25日の府議会代表質問(大阪維新の会大阪府議会議員団、登壇は和田賢治議員)と府の答弁の要旨を漫画にしました。台詞は要旨をやさしく言い換えたもので、発言そのままではありません。イラストはAI生成のイメージで、人物は実在の人の似顔絵ではありません。出典:大阪府議会公式録画(2026年9月25日 本会議 代表質問)

公式録画で確かめられる範囲で、府の答えの要旨をまとめます。

バックアップについて、副首都推進局長は、首都圏で大規模な災害が起きた場合に備えて、大阪での政治・行政・司法のバックアップ体制や、「副首都庁合同庁舎(仮称)」で国と地方の機関をまとめて配置すること、首都圏が被災したときの救援・支援の体制、経済・金融・情報通信やサプライチェーンを止めない仕組み、大阪自らの防災力の強化などについて、検討を深めると答えました。

経済の中核については、本社機能の移転や海外企業の誘致、スタートアップの育成などに向けた機能の強化が重要だとしたうえで、府全体で底上げする機能と、重点的に整備する機能とエリアに分けて検討を進める、という答えでした。

副首都に求められる二つの役割の図。左は非常時の「首都機能のバックアップ」。東京圏で大きな災害が起きたとき、首都の中枢機能の全部か大部分を代わる。大阪で検討中のこととして、政治・行政・司法のバックアップ体制、副首都庁合同庁舎(仮称)に国と地方の機関を集める、首都圏が被災したときの救援・支援の体制、経済・金融・情報通信やサプライチェーンを止めない仕組み、大阪自らの防災力の強化。右は平時の「多極分散型経済圏の中核」。東京だけに集中しない国の形の中で、経済の中心の一つを担う。検討中のこととして、大企業の本社機能の移転や海外企業の誘致、スタートアップの育成と新しい技術の実証・実装、府全体で底上げする機能(物流・交通、デジタル、金融など)、重点的に整備する機能とエリア(どこに何を集めるかは検討中)。
図3 副首都に求められる二つの役割と、大阪で検討中のこと。出典:副首都法(令和8年法律第78号)第2条第4項・第5項、第26回副首都推進本部(大阪府市)会議 資料2(2026年9月17日)14・30〜32ページ、大阪府議会 公式録画(2026年9月25日 代表質問)。下段は検討中の内容で、決まったことではありません。2026年10月28日確認。

どれも、「検討を深める」「検討を進める」段階です。決まったことではありません。府内のどの地域に何を集めるのか、泉州にどんな役割が描かれているのかは、最後にご案内する記事にまとめています。

まだ決まっていないことを、正直に並べます

施行の日だからこそ、決まっていないことを先に並べておきます。

  1. 大阪が指定を申し出る時期。 府の資料では「時期未定」です。
  2. 行政体制の要件を、どの形で満たすのか。 府と大阪市のこれからの課題です。
  3. 国の「基本方針」の中身。 施行から1年以内に定めることになっています。
  4. 副首都ごとの「整備方針」の中身。 整備の目標、産業や経済活動の拠点、交通網などの都市の基盤、国の機関の拠点、周りの地域との連携などを、国が定めます。
  5. 大阪の「めざす副首都像」の基本的な考え方。 9月17日に「検討状況」が示された段階です。

もう一つ、書いておきたいことがあります。

法律には、政府が必要な法制上・財政上・税制上の措置を講じる、と書かれています。規制緩和や、民間投資を促すための税制も、国が講じる施策として挙げられています。ただ、府や市にどんな権限や財源が移るのかは、条文の中に具体的には書かれていません。

正直に言えば、10月30日の時点で、府民の皆さんの暮らしの中で何かが変わるわけではありません。

法律が決めたのは「順番」。中身は、これから書かれます

では、施行には意味がないのか。僕は、そうは思っていません。

法律が決めたのは、誰が、どの順番で、何を決めるのか、という枠組みです。国が基本方針を決める。府が議会の議決を経て申し出る。首相が指定する。国が副首都ごとの整備方針をつくる。その整備方針をつくるとき、国は副首都の長である知事の意見を聴き、それを尊重しなければならないとされています。

府と大阪市が今つくっている「大阪がめざす副首都像」は、まさにこの、知事が国に意見を述べるための土台として位置づけられています。府がこれから書く考え方が、国の整備方針の中身に効いてくる、という順番です。

9月25日の代表質問では、副首都での市町村のあり方も聞いています。知事は、単に東京を代わる「ミニ東京」ではなく、個性のある都市として日本の成長を引っ張っていく、と答えました。そのうえで、市町村とも一体となって副首都・大阪づくりを進めると述べています。

この「ミニ東京ではない」という言葉は、僕が10月に議会で確かめてきたことと重なります。10月1日の一般質問で、地域ごとに役割を分ける理由を副首都推進局長に聞いたとき、答えの芯の一つは「ミニ東京」にはしないことでした。10月9日の委員会では、僕から「大阪ならではの強みを生かしたエリア形成を図り、ミニ東京ではない副首都像を描いていただきたい」と伝え、エリアの方向性を行政だけで描かず、市町村や企業、大学と一緒に考えてほしいと求めました。

言葉は、そろってきています。ただ、議場でそろった言葉と、府が国に出す考え方の中にそれが書き込まれることは、別のことです。

僕は、ここからが本番だと思っています

副首都という言葉は、大阪では長く使われてきました。それが、国の法律の中の制度になりました。これは大きな節目です。

でも、法律ができたことと、大阪で何かが実現することは、同じではありません。指定も、基本方針も、整備方針も、府の考え方も、全部これからです。

「ミニ東京ではない副首都像」が、府の考え方の中で、府内の地域ごとの具体的な役割と、国への提案として書かれるのか。施行で、その中身を書き込む段階に入ったと受け止めています。

岸和田から出ている府議会議員として、副首都の中身に泉州の産業や仕事がどう書かれるのか。そこを見ていきます。

次に何が分かれば、前進したと言えるのか

最後に、前進の目安をまとめます。

  1. 国が、指定の手続きの進め方や時期を示すこと。 府の資料では、国による政令の基本的な考え方などの公表は11月中と想定されています。
  2. 府の「めざす副首都像」に、地域ごとの役割が国への提案とセットで書かれること。 泉州の方向性が、言葉だけでなく、必要な投資や制度の提案と結びついているかを見ます。
  3. 府議会で、申し出に向けた議論が始まること。 申し出には府議会の議決が必要です。その前に、行政体制の形が示される必要があります。
  4. 国の基本方針と整備方針に、大阪の考え方がどう反映されるか。 基本方針は施行から1年以内、府の想定では2027年10月です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

副首都の議論は、法律という形を得て、ここから中身を書き込む段階に入ります。府の考え方が取りまとまったら、泉州がどう書かれたのかを、またここでお伝えします。

2026年10月30日 前田将臣

P.S. 府と大阪市が描いている府内の地域ごとの役割と、泉州の受け皿になる場所の今の段階は、「副首都は、大阪市だけの話ではない」の記事にまとめています。10月の委員会で「ミニ東京ではない副首都像を」と求めた中身も、こちらで読めます。法律が動き出したいま、泉州に何が描かれているのかを、あわせて読んでみてください。

出典・参考(11件)