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大阪府議会議員前田 将臣
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副首都は、大阪市だけの話ではない――府が描く地域ごとの役割と、泉州の受け皿

「副首都」と聞くと大阪市の話に聞こえますが、府と大阪市の検討では、府内の地域ごとに役割が描かれています。10月の一般質問と委員会で確かめたことをもとに、泉州の役割と、その受け皿になる場所の現在地、まだ決まっていないことを分けて整理します。

こんにちは。大阪府議会議員の前田将臣です。

10月1日の一般質問と、10月9日の総務常任委員会で、「副首都」について質問しました。その中身は、チラシ(維新Press Vol.4)にもまとめています。ただ、チラシや短い動画では、どうしても言い切れないことがあります。

それは、「どこまで決まっていて、どこからがまだ決まっていないのか」です。

白黒漫画1ページ。クレーンと工場が並ぶ港の海辺に「大阪・泉州の臨海部」。府議の役のキャラクターが、読者に向かって「副首都と聞くと、大阪市の話だと思いませんか」と問いかけ、地図を広げて「九月、府と大阪市が地域ごとの方向性の案を示しました」と話す。最後に「泉州は、その中でどんな役割なのか。今日は、そこをお話しします」と語る。
漫画1 この記事の導入(AI生成の漫画。登場人物は架空のキャラクターで、実在の人物の似顔絵ではありません。港の絵はイメージで、実在の場所ではありません)。内容の根拠は、第26回副首都推進本部(大阪府市)会議 資料2(2026年9月17日)。

今日は、府と大阪市が描いている地域ごとの役割と、その中での泉州の役割、受け皿になる場所の現在地を、決まったことと決まっていないことに分けてお伝えします。

「副首都」と聞いて、大阪市の話だと思っていませんか

副首都と聞くと、梅田や中之島、夢洲のような、大阪市の中心部を思い浮かべる人が多いと思います。

それは間違いではありません。府と大阪市が9月17日に示した資料「大阪がめざす副首都像(検討状況)」でも、新大阪、キタ、中之島、大手前、大阪城東部、夢洲、ミナミの7つの都心部のエリアが、一つずつ整理されています。

でも、同じ資料には、もう一枚の地図があります。

北摂、北河内・中河内、南河内、泉州。大阪市の外の、府内の4つの地域です。それぞれに「どんな機能を集めるか」と「めざす方向性」が書かれています。

副首都は、大阪市だけを強くする話ではありません。少なくとも、府と大阪市の資料はそういう形で描かれています。

10月1日の一般質問で、なぜ地域ごとに役割を分けるのかを副首都推進局長に聞くと、答えの芯は二つでした。地域ごとの強みを見極めて、企業や人材、投資を呼び込むこと。そして、東京の代わりをするだけの「ミニ東京」にはしないこと、です。

委員会で聞いたのは、「泉州のほかは?」でした

その8日後、10月9日の総務常任委員会です。

僕は「大阪ならではの強みを生かしたエリア形成を図り、ミニ東京ではない副首都像を描いていただきたい」と伝えました。

泉州エリアについては、同じ会派の中川議員が一般質問で確認していました。そこで、その続きとして、泉州のほかにどんなエリアを考えているのかを聞きました。

白黒漫画1ページ。10月9日の総務常任委員会。府議の役のキャラクターが「泉州のほかに、どんなエリアを考えていますか」と質問する。府の担当者の役のキャラクターが、北摂はライフサイエンスとスタートアップの拠点、北河内・中河内はAIとものづくりの拠点、南河内は新しい技術を試す郊外の実証の場だと答える。最後に府議の役が「行政だけで描かずに、市町村や企業、大学と一緒に考えてください」と求め、ナレーションに「どれも検討中の方向性」とある。
漫画2 10月9日の委員会での質問と答弁(AI生成の漫画。登場人物は架空のキャラクターで、実在の人物の似顔絵ではありません。セリフは質問と答弁の要旨を分かりやすい言葉に直したもので、一言一句の再現ではありません)。根拠は、大阪府議会の公式録画(2026年10月9日 総務常任委員会)。

府の答弁は、次の3つでした。

  • 北摂は、彩都や健都、大阪大学をはじめ多くの大学があることから、ライフサイエンス分野の研究開発やスタートアップの育成・集積による「世界最先端の研究開発で未来を創る知の拠点」。
  • 北河内・中河内は、世界に通用する技術を持つものづくり企業が集まっていることから、フィジカルAIとものづくり技術などによる「世界的企業と中小企業が共創するものづくり拠点」。
  • 南河内は、緑豊かな住環境のもとで地域公共交通の実証実験が行われていることなどから、「街まるごとスーパーサンドボックス」(まち全体で新しい技術を試せる仕組み)や先端技術の実証による「自然と調和した未来社会の郊外型実証フィールド」。

それぞれ、「めざす方向性として位置付けている」という答えです。

府を一つのチームとすると、地域ごとにポジションが違います

並べてみると、よく分かります。

府と大阪市が示した、地域ごとのめざす方向性の図。北摂は「世界最先端の研究開発で未来を創る知の拠点」。北河内・中河内は「世界的企業と中小企業が共創するものづくり拠点」。南河内は「自然と調和した未来社会の郊外型実証フィールド」。この3つには「10月9日の委員会で、府が答弁」の印。泉州は「GXを実証・実装するカーボンニュートラル・ベルト」と「海と歴史文化で世界をもてなす観光・交流拠点」。大阪市内の都心部は、新大阪・キタ・中之島・大手前・大阪城東部・夢洲・ミナミの7つのエリアを別に整理している。
図1 府と大阪市が示した、地域ごとの「めざす方向性」(検討中の案)。出典:第26回副首都推進本部(大阪府市)会議 資料2(2026年9月17日)、2026年10月9日 総務常任委員会での府の答弁。並びはおおよその位置関係で、地図の正確な形ではありません。2026年10月21日確認。

全員が同じことをするチームは強くなりません。研究が得意な地域、ものづくりが得意な地域、新しい技術を暮らしの中で試せる地域。それぞれのポジションがあって、つながる。府と大阪市の資料は、そういう形で副首都を描こうとしています。

では、泉州はどうか。

資料では、泉州の方向性は二つ書かれています。

一つは「GXを実証・実装するカーボンニュートラル・ベルト」。GXは、脱炭素に向けて産業や暮らしの仕組みを変えていく取り組みのことです。僕なりに言い換えると、脱炭素の新しい技術を、実際に試して、使っていく場所です。

資料は、泉州の強みとして、24時間動く関西国際空港があること、堺泉北港にペロブスカイト太陽電池などの生産拠点や大規模なデータセンターが集まっていること、臨海部に製造業や工業団地があることを挙げています。集める機能の例は、次世代エネルギーの拠点づくりや、港の物流と成長産業の組み合わせです。

もう一つは「海と歴史文化で世界をもてなす観光・交流拠点」です。だんじりや熊野街道、水ナスや新鮮な魚介といった、泉州の歴史や食も書かれています。

じゃあ泉州で、受け皿になる場所はどこにあるのか

方向性の言葉だけでは、会社は来ません。必要なのは、具体的な場所と、そこで何をするかです。

10月1日の一般質問では、泉州の受け皿になりうる場所として、三つを取り上げました。

海:木材コンビナートの貯木場

一つ目は、岸和田市と忠岡町にまたがる、木材コンビナートの貯木場です。約76ヘクタールの水面があります。近くのちきりアイランドの保管施設用地とあわせて、関空や港、高速道路に近い強みを活かして、大阪として成長させたい産業を呼び込む視点が必要だと述べました。

そのうえで、企業誘致を担う商工労働部長に、成長産業を集めるためにどう取り組むのかを聞きました。

府の答えは、先進的な分野の企業の地方税を軽くする「成長特区税制」について、今年度から対象を「新エネルギー」から「カーボンニュートラル」へ広げるなど制度を見直し、新しい地域の指定について市町村に働きかけている、というものでした。ものづくり産業のための税制や補助金も活用できるようにしているとのことです。

僕からは、国のカーボンニュートラル分野のクラスター計画と、泉州のGXの方向性をもとに、誘致する産業と用地の具体化につなげてほしいこと、そして貯木場の埋め立てを、成長産業の受け皿として早く事業化してほしいことを要望しました。

ただし、貯木場の埋め立ては決まっていません。府は、貯木場を含む3つの候補の場所を比べている段階で、埋め立て以外の方法との比較も求められています。この7年のやり取りは、木材コンビナートの貯木場の記事にまとめています。

港:阪南2区の岸壁

二つ目は、阪南2区の耐震強化岸壁です。

港湾計画では、阪南2区に水深12メートルと7.5メートルの岸壁をそれぞれ3バース整備し、そのうち各1バースを耐震強化岸壁にする予定になっています。でも、まだ整備されていません。

岸壁ができれば、大きな船で貨物を運べるようになり、周りの企業の取引の選択肢が広がります。災害のときには、緊急の支援物資を受け入れる拠点にもなります。

これまで、府からは「平常時の貨物量が足りない」と説明されてきました。そこで、事業化に向けてどう進めるのかを大阪港湾局長に聞きました。

阪南2区の耐震強化岸壁の現在地の図。令和6年度、阪南2区に進出している全ての企業26社にアンケート調査。令和7年度から、阪南2区以外の企業にも対象を広げて需要を掘り起こし。今年度、岸壁を使いたいと答えた5社にヒアリング。確認できたのは、大型の鋼材加工品や建設機械向けの部品など一定の貨物需要。これからは需要の推計と費用対効果の検証、そのうえで早期の事業化に向けて国に働きかける。事業化が決まるかどうかと、その時期は、まだ決まっていない。
図2 阪南2区の耐震強化岸壁は、どこまで来たか。出典:2026年10月1日 本会議一般質問での大阪港湾局長の答弁(公式録画)。点線の枠は、これからのこと・まだ決まっていないことです。2026年10月21日確認。

府の答えは、こうでした。令和6年度に、阪南2区に進出している全ての企業26社にアンケート調査を行った。令和7年度からは対象を広げた。今年度、岸壁を使いたいと答えた5社に話を聞き、大型の鋼材加工品や建設機械向けの部品など、一定の貨物需要が確認できた。今後は、需要の推計や費用対効果の検証を進め、早期の事業化に向けて国に働きかけていく。

「足りない」と言われてきた需要が、一定は確認できた。ここは一歩です。でも、整備が決まったわけではありません。これから、数字で効果を示す段階です。岸壁を求めてきた背景は、阪南2区の岸壁の記事にまとめています。

山手:泉州山手線

三つ目は、海から離れた山手の道路、泉州山手線の「山直工区」です。和泉市境から岸和田中央線までの約2.4キロメートルの区間です。

質問の中で、岸和田市への聞き取りでは、道路の延伸にあわせた産業用地の候補地が、山手地域で合計100ヘクタールほど見込まれていることを紹介しました。

府の答えは、令和7年12月に山直東地区の土地区画整理組合が設立されたことを受けて、道路の詳細設計などに着手した。今年度は5月に地権者への説明会を開き、用地の買収に必要な土地の測量などに着手した、というものです。

海の産業用地、港の岸壁、山手の道路と産業用地。泉州の「受け皿」は、一か所ではありません。

泉州に何が来るのかは、まだ決まっていません

ここまで読んで、「で、泉州に何が来るの?」と思った方もいると思います。

動いていることはあります。成長特区税制の対象はカーボンニュートラルへ広がりました。山直東地区では区画整理の組合ができ、道路の設計と測量が始まっています。

でも正直に言うと、泉州に何が来るのか、どこに何をつくるのかは、まだ決まっていません。

まず、副首都像そのものが「検討状況」です。府と大阪市は、政令が公布されたあと、できるだけ早く「大阪がめざす副首都像」の基本的な考え方を取りまとめる予定です。国が基本方針をつくるのは、来年10月の予定。府が副首都の申請をする時期は、まだ決まっていません。

副首都の手続きの年表。2026年7月31日に副首都法が公布。9月17日に府と大阪市が副首都像の検討状況を公表。10月1日と9日に府議会で質問。いまは10月21日。これからの見込みとして、10月末に法の施行、11月中に国が基本的考え方を示すめど、政令の公布後に府が副首都像の基本的考え方を取りまとめ、時期未定で府議会の議決を経て府が申請し国が指定、2027年10月に国が基本方針を策定する予定。
図3 副首都の手続きは、いまどこにいるか。出典:第26回副首都推進本部(大阪府市)会議 資料2「今後の進め方」(2026年9月17日)、2026年10月9日 総務常任委員会での府の答弁。白抜きの印は予定・見込みで、変わることがあります。2026年10月21日確認。

地域ごとの方向性も、答弁では「めざす方向性として位置付けている」という段階です。泉州の二つの方向性も、資料の上の案です。

受け皿の場所も同じです。貯木場は、場所や規模を比べている段階。阪南2区は、需要の推計と費用対効果の検証を進める段階。泉州山手線は、設計と測量の段階で、開通の時期は答弁では示されていません。

そして、この地域ごとの方向性は、僕の質問で生まれたものではありません。府と大阪市の検討チームが、民間の事業者や有識者、経済界、市町村などから意見を聞きながら整理しているものです。僕の質問は、その中身を議会の場で確かめ、泉州の受け皿を具体的に問うものでした。

大阪市が強くなるのも大事。そのうえで、言いたいこと

大阪市が強くなるのも大事です。そこは否定しません。

都市に企業や資金が集まっていることは、大阪の大きな強みです。委員会でも、その強みを府内各地の強みと結びつけて、大阪全体を見渡して設計することが大事だと話しました。

ただ、10月1日の質問の冒頭でも話したように、企業の技術、研究機関、用地、人材は、一つの市町村にそろうとは限りません。

泉州で言えば、貯木場は岸和田市と忠岡町にまたがっています。泉州山手線は、和泉市境から岸和田市、貝塚市、熊取町を通る道路です。一つの市や町では決めきれないことを、市町村を越えてつなぎ、交通や土地の使い方を調整する。そこは、広い範囲を見る府の役割だと僕は考えています。

もう一つ、委員会で求めたことがあります。

エリアの方向性を、行政だけで描かないでほしい、ということです。地元の市町村、企業、大学、研究機関と一緒に、どの産業を育てて、どんな事業を実現するのかを考えるところから進めてほしい。そのうえで、必要な投資や税制、規制緩和を、エリアの形と一体で国に提案してほしい。

「GXを実証・実装する」という言葉が、泉州の会社の仕事や、ここで働く選択肢につながって、はじめて意味があると思っています。

僕は岸和田から出ている議員なので、ここは言わせてください。副首都は、泉州の力を、大阪の力にする話だと思っています。

次に何が分かれば、前進と言えるのか

最後に、これから見ていく点を整理します。

  1. 府の「基本的な考え方」で、泉州がどう書かれるか。 現在地:9月17日に検討状況が示された段階。政令の公布後、できるだけ早く取りまとめる予定です。泉州の方向性が、具体的な取り組みや国への提案とセットで書かれるかを見ます。
  2. 泉州のGXの方向性に、誘致する産業と用地が結びつくか。 現在地:成長特区税制の対象をカーボンニュートラルに広げ、新しい地域の指定を市町村に働きかけている段階です。泉州で新しい地域指定が出るかが、一つの目安です。
  3. 貯木場の埋め立ての場所・規模・方法が示されるか。 現在地:2024年12月の配慮書で3つの候補を比べた段階で、府のページにはその後の手続きはまだ載っていません(2026年10月21日確認)。
  4. 阪南2区の岸壁の、需要推計と費用対効果の結果が出るか。 現在地:一定の貨物需要を確認し、検証に進む段階です。結果が国の事業化につながるかを見ます。
  5. 泉州山手線の用地の取得が進むか。 現在地:詳細設計と、用地の買収に必要な測量に着手した段階です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

副首都の議論は、法の施行から国の基本方針まで、これから1年ほどをかけて、言葉から中身へ進んでいく予定です。府が基本的な考え方をまとめたら、泉州がどう書かれたかを、またここでお伝えします。

2026年10月21日 前田将臣

P.S. 10月9日の委員会での質問と府の答弁は、府議会の公式録画で聞けます。泉州以外の地域についての質問と答弁は、動画の4分40秒ごろからの約2分です。泉州以外の地域がどう位置づけられたかを聞くと、検討中の案で泉州に求められている役割の輪郭も見えてきます。府が何と答えたか、一度ご自身の耳で聞いてみてください。

出典・参考(6件)